超音波内視鏡については別項で説明しましたが、膵癌などを確定させるために生検を行う場合があります。
比較的安全な検査ですが、癌細胞の播種(針が通る経路などに癌細胞が広がってしまうこと)の危険があります。報告例は少ないですが、胃などに播種した例が知られています。播種は少ないと主張される医師が圧倒的に多いですが、播種例は積極的に論文として発表されていません。また、播種が見つかる例は2年後など、膵癌の中では長期の経過の方です。膵癌のほとんどの方が1年程度で亡くなっているため、播種した例が分からないために、播種が見かけ上少なくなっているのではないかと思います。
癌細胞は腫瘍全体に均一に存在するわけではありません。生検で取れた細胞が癌の場合には確定しますが、取れた細胞が正常であっても、すべての部分が正常とはいいきれません。このため、個人的には、手術可能な状況で癌が疑われる場合には、生検なしで手術がよいと思います。もちろん、手術をしたら良性のものであるという可能性はありますが、生検が陰性だったけど癌であった場合や播種などの場合とどの結果が納得できるかという比較の問題になります。
その他、転移などがある場合や膵癌の可能性は低いので手術を避けたい場合は、診断を確定させるために必要な検査と思います。