手術が不可能な膵癌に対する、主な化学療法に以下のものがあります。
1.FOLFIRINOX
2.ジェムザール+パクリタキセル(アブラキサン)
3.ジェムザール
4.S-1
5.S1+ジェムザール
6.ジェムザール+エルロチニブ
日本膵臓学会より、膵癌についてのガイドライン(2013年、2015年改訂:日本膵臓学会)では、FOLFIRINOXとGEM+アブラキサンが標準治療とされていますが、いくつか問題があります。以下、もう少し詳しく説明します。
1. FOLFIRINOX
標準治療のひとつ
生存期間中央値 11か月前後
比較的副作用が強く、標準投与量を使用できないことが多いため、 日本では薬剤を減量して用いることが多い。このため、期待通りの効果が得られるかどうか、不明。48時間連続点滴が必要こともあり、手放しで第一選択の治療とは言い難い。
標準投与量:効果確認のための試験で使用した薬剤の量
2. GEM+アブラキサン
標準治療のひとつ
生存期間中央値 8.5か月前後
HRではFOLFIRINOXに劣りますが、副作用の少なさから標準療法とされています。
3. S1+GEM
生存期間中央値 10か月前後
GEMの成績を超えることが期待されましたが、比較試験(GEST studyなど)で明らかな差をつけることができませんでした。比較的、副作用が少なく悪くない印象です。
4. S1単独療法
生存期間中央値 9か月前後
日本発の経口剤。奏効率に優れる。
5. GEM単独療法
生存期間中央値 5-8か月前後
長らく標準治療法の一つでした。ジェムザール(GEM)を超えることが新規の薬剤の目標。
6.ゲムシタビン塩酸塩+エルロチニブ塩酸塩併用療法
GEMに比べ0.3か月生存期間を延長するという結果が出て承認された。わずか10日程度の延長期間と副作用を比べると、セカンドライン以後でしか使われないでしょう。
が、あります。切除不能と言っても、遠隔転移のあるなしで治療法が異なるため、詳しくは、次回に説明します。